チャルメラは得体が知れなかった。
幼少期チャルメラの音色が非常に怖かった。
夕方母に「雨戸閉めてね」と言われ、二階の道路に面した窓に向かうと、夕焼け空のオレンジ色と、色が濃くなった雲、カーテンの影が長く伸び、部屋の中はちょっと薄暗い状態。
そこで鳴るチャルメラの音。
今思えばとても幻想的な風景なんだけど、逢魔が時というだけあって、なにかしらの異形の存在を感じていたのかもしれない。
豆腐のラッパは白衣の妖精が鳴らしている
そこで聞こえる、豆腐のラッパは何故か怖くなかった。パーーープーーーという音はハーメルンの音楽隊(今思うと全然陽気じゃないけど)を思わし、豆腐屋のおじさんは小人とか、ノームとかの一種。
豆腐屋という姿は世をしのぶ仮の姿で、普段は「ハイホーハイホー しごっとがすきー♪」と斧担いで森を闊歩してるイメージだったのだ。、、色々と混ざっているが、陽気な働き者の妖精の一種だと思っていたので怖くなかったのだ。
(実際にはラッパの音は車のバンのスピーカーからでていた)
↓ちなみに豆腐屋のラッパは買えるらしい。25000円と値は張る。
チャルメラは地獄の黙示録の終末のラッパ
でもチャルメラは違った。
だってあれラッパで出る音じゃない。
当時の私にとってラッパとは豆腐ラッパのような吹き方で調節するニ音ぐらいの楽器だった。そして私がしょっちゅう吹いていたおもちゃのラッパは、パフォーと病気の象みたいな音しか出なかったので、余計そう感じたのだろう。
夕日のオレンジ色に染まる世界のなかで、姿の見えない
「チャラリーララ チャラリラララー」と いう音は地獄からの呼び声に聞こえ、私にとってはヨハネ黙示録の終末のラッパだった。
あの音がなるとヤダーと叫びながら半べそで走って逃げて、押入れの客用布団の中に潜り込んだ記憶がある。
当時の私にとって押し入れはセイフティーゾーンであって秘密基地のような存在で、建築師の父が設計した不思議な内部構造の家は一階の押し入れから二階へつながってたりして、とても不思議で安らぐ場所だったのだ。
あのチャルメラの音は押し入れでチャラという自分ルールで守られていた。
なぜチャルメラがそんなに怖かったのだろう?
チャルメラはオーボエの一種だという。
チャルメラとは、オーボエと同じ、2枚リードの木管楽器の一種である。チャルメルともいう。
サーサーン朝期のペルシアにて軍楽隊が使用した楽器が起源とされる。のちにスペイン、ポルトガルに伝えられ、ヨーロッパに普及した。その構造は、フランスのジャン・オトテール(Jean Hotteterre)らによって室内用楽器として改良が加えられ、オーボエの誕生に繋がった。
wikipediaより
高音はD調をベースになっている。一番よく使われる楽器で表現がもっとも多様にできるものである。
中音はA調と♭B調の2種類がある。明快な響きを表現する楽曲に使われる。
小はG調とF調の2種類がある。軽快な楽曲に使われる。
なにこれかっこいい。流石サーサーン朝期のペルシアの楽器。(余談だがアケメネス朝ペルシアと共に必殺技みたいでカッコいい響きだねサーサン朝)
ソラシーラソソラシラソラーって聞こえるってことはG調のチャルメラなのかな?と。
今思うとペルシアの楽器の普段の生活で触れていない、エキゾチックな音が、怖い物を連想させたのかもしれない。
蛇使いの笛とね。
リヤカー屋台ラーメン大統領 チャルメラの音
今聞いてもやっぱり怖いよ!チャルメラ
そしてやたら陽気なチャルメラプロ演奏を見つけたのでシェアしたい。
チャルメラプロ試奏
チャルメラ無双って感じの曲である。これがD調のチャルメラらしい。
新しい楽器をやるならチャルメラはどうか?多分競合相手があまりいなそうだ。